yocoshicaのブログ

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推しグループの初ナゴヤドームライブまでをなぜか毎日カウントダウンしているブログでした

私をつくった全てのエンターテイメントたちへ(ミュージカル「Foodtruck #FixYou ~full course~」配信の感想)

   

ミュージカル「Foodtruck FixYou~full course~」を見ました!

ボイメンの事務所がGW期間に名古屋でやってたミュージカルでして、11公演やって5/2が千秋楽でした。
もともと配信でやってたオリジナルストーリーの続編の舞台化、なんと全公演配信があって! 愛知県外の自分もありがたいことに画面を通して舞台の推しを見ることができました。

 

 

とはいえ配信に映ってるのは舞台で表現されている事象の一部でしかないので、このブログの文章はあくまでも「配信を見た」感想になることを前置きしておきます。画面みながら「会場で見たい!!!」て538回くらい思ったし……舞台なんてのは会場で見るのが一番ですからね。あ、ネタバレありなのでDVD待ちの人はお気をつけください!

  

シュガピンク越しに見る舞台FixYouの「良さ」

でですね、シュガピンクってキャラがいるんですけど。推しが演じてて……。シュガピンクっていうか、超理戦隊クッキンジャーっていう戦隊ヒーローが出てくるんですけどね、そのピンク色で……。

この真ん中にいる人です。他のカラーの人はWキャストなんですけど、何故かこの方だけシングルキャストで11公演全部に出ていました。(なんで????)

 

戦隊それぞれ、

・情熱レッド
・知的なブラック
・寡黙なグリーン
・チャラめのイエロー
・無邪気なピンク

的な感じの役割分担がされていて、普段からボイメンにおける無邪気のイエロー(©BOYS AND MEN夜露四苦)をキメてる推しのことですからそれはもう元気に…ピンクとして…生き生きとピンク生を過ごしておられました。

 

で、この無邪気さとか、天真爛漫さがこのお話のなかでとても大事になってくる要素だと、感じた!

ストーリーを性格ひとつでエイヤで動かしてしまえる機動力とかそういうのもそうなんだけど、この物語のなかではその「大人になりきれていない」というキャラクターが極めて重要だな〜と思ったのです。

 

 「クッキンジャー」という不器用なヒーロー

というのも物語の中盤でクッキンジャーの皆さんの「正体」が明かされるシーンがあってですね。彼らは過去に放送されていた不人気戦隊ヒーローであり、実は舞台に出てくる他の人間たちに昔大事にされていた、ぬいぐるみだったことが判明します。(びっくりした!)

 

で、元の持ち主である人間たちはもう大人になってるから、最初のうちはクッキンジャーのことなんか忘れてる。そしてクッキンジャーは、成長した持ち主たちにいつまでもヒーローのぬいぐるみが必要されるわけはないと思ってる……というか、思うようにしてる。

人は抗いようもなく大人になっていくものだな。

ってソイグリーンは言うし

忘れてください、それでいい。

ってソルブラックは歌うし

時間が経てばみんな忘れられる。そういうことだ。

って言うのはビーンレッド。ほんとにもうこのヒーローたち、見ててもどかしいぐらいにめちゃくちゃ物分かりが良い

人間に大事にされて魂が宿ったぬいぐるみである彼らは当たり前のように人間に対して献身的で、もともと50円(!)で買われた身なのもあって己の価値をすこし諦めている。

 

でもさあほんとにそう思ってるならそんな何回も何回も確認するみたいに言わないじゃん!!て思う!! 当然のことなら何も言わずに受け入れれば良いんだから、ほんとは忘れられたくないんでしょ寂しいんでしょ!!!て、見てるこっちはぐぎぎぎぎ!となった!!

 

でもクッキンジャーはヒーローだからさあ;;たぶん「忘れて良い」っていうのもちゃんと本音なんだ……うっうっ…ヒーローってさ……そういうとこあるから……。そういう生き物だから…クッキンジャーってのはさ……。

 

 「ここにいるよ」の叫び

そんななかで我らがシュガピンクさんは

ここにいるよーーーーーーーー!!

って、ありったけの声で叫ぶのです。まじで突然叫ぶ。急に大きい声出すからびっくりするくらいに叫ぶ。ステージの真ん中でぎょっとするくらいに叫ぶ。

これは物語上「なかなか姿を見せないレッドを探すときの台詞」なんだけど、画面越しの自分は都合の良い耳をしているので、この声が人々の記憶から消えてしまいそうになっているヒーローの叫びに聞こえて仕方がなかった!

 

クッキンジャーっていう憧れのヒーローである人格のなかの、大人になりきれていない、本音に近いところにいるキャラクターがシュガピンクなのかなと思っていて、その声は愛情も悲しみも溢れるくらいに湛えているから、彼の台詞を耳にするとすこし泣きそうになるのです。

僕たちは、もういらないのかもしれないね。

って呟く顔は笑ってるけど寂しそうにも見えて、大人になりきれていないヒーローって感じでウッてなる。ただ舞台を見ているだけの自分に、ヒーローに人格があることを思い起こさせてくれるのがシュガピンクで、過去に大事にしていたたくさんのものを、忘れても良い、都合の良い存在にさせてくれない厳しさと優しさを感じるキャラクターなのでした。

 

ヒーローはいつ報われるのか

我々「消費する側」の人間は、ヒーローは傷付かない、強くて大人で完成された存在だと思いがちだけれど、でも本当は、ヒーローの中身は、自分に50円の価値しかないと思っている、誰かに大切にされた記憶を大事に抱えて生きてきた小さなぬいぐるみかもしれないということを突きつけてくるのがこの舞台です。

エンディングの曲「Forget me」で歌われる

あるとき寄り添い
そしていつか離れる
宿命の ヒーロー

っていう歌詞は、ヒーローだけではなくてすべての憧れに、もしくはエンターテイメントにつきまとう真理だと思うし、おそらくやっぱり「遠くの他者から得る幸福」はいつか離れるものだというのは「そういうもの」で「宿命」なのだと思います。
自分に置き換えてみても、偶像に熱中した記憶は少しずつ薄れていることに気付く!中学の頃覚えたギターはもう弾けないし、高校の部室で流れていた曲も思い出せないし。

 

なのでFixYouというこの再会と再生の物語を見て、そういう宿命に抗うことができた人たちの起こした、どこにでも起こり得る奇跡みたいなお話だと思ったのでした。

 

この舞台の最後で、「忘れること」への抵抗は、料理という再現可能な、受け継ぐことのできる愛情をメタファーにして、想いを抱えて次の世代へと引き継いでいくことで示されます。(書き忘れてたけどクッキンジャーはコックさんなんだよ!)

同じく「Forget me」中の

宿命は巡る

運命は連なる

君の料理で きっと思い出す

 っていうとこで毎回ちょっと泣きそうになってしまう。「きっと」っていう切実なメロディに重ねられる何人もの声が、今まで人々に寄り添ってきたたくさんのヒーローの願いみたいに思えて胸にくるので!

 

だから忘れて構わない 今度は君が 誰かのヒーロー

 

最後の最後の1フレーズで心からそう言って笑ってくれた、やっぱりどうしようもなく格好良いヒーローたちを、画面越しの観客である自分はどういう顔で見送れば良いのだろう、と考えたりしました。

 

おわりに

ストーリーの感想はこんなところ! で、見終わったあとには、今自分が好きで追いかけているボイメンっていう楽しみのことや、過去に好きだった様々なエンターテイメントのことをぼや〜っと考えました。

 

奇しくも今はコロナ禍の最中で、このミュージカルの公演中にも、何人かのメンバーが「エンターテイメントを届けること」への想いを発信しているのを目にしたりもしました。

一般人である自分の側からは物理的に精神的にエンタメから離れた人を結構な数見たし、自分もこの状況で現場の光景を見るのが辛いときもある。忘れられて消えそうなヒーローの存在にやけに現実味がある、そんな状況下で上演された舞台でした。

 

 

 

料理みたいに自分の身体をつくってきてくれたエンターテイメントへの熱をこの先どうやって持ち運ぶのか。そのヒントは舞台のなかにたくさんあって、新田くんのように派手には(派手だったね〜〜)できなくても、学くんみたいに友達との関係のなかに溶かしたり、蛭間さんみたいに次の誰かに伝えたり、英人さんみたいに自分の芸に活かしたり、勇くんみたいにもう一度現場に足を運んだり、本当に色々なやり方があるんだと思う!

 

こうやってぽちぽちブログを書いてるのもそうだし、Twitterでは8割マッサマンカレーとパンダの話しかしてないけどそんな風に楽しくわちゃわちゃと盛り上がるのも、そういうちょっとずつが自分を癒やす“Fix”してくれるものだということに気付きます。エンタメに関わるすべての営みが、誰かを支えるほんの少しの材料になるかもしれないんだなあと思ったりもしました。

 

 

ミュージカル「Foodtruck FixYou~full course~」、千秋楽おつかれさまでした、ごちそうさまでした〜〜というにはまだ咀嚼している最中ですが、配信期限の5/7まで目一杯楽しんで、味わう予定なので、他の人の感想もたくさん聞きたいな〜〜と思っています。明日はルー2種類使ったカレーを作って食べるんだ!配信のURLも貼っておくので、もしよかったら召し上がってみてください。

 

www.openrec.tv